スポーツによるケガ

スポーツ障害は、繰り返しの負荷を受けることで痛みを生じたものであるといわれています。
「この動作で痛めた」という、明確な受傷のきっかけがないことが特徴です。

スポーツ障害は、とくに次の3つの要素が重なると、発症するリスクが高まります。

・オーバーユース（使いすぎ）
・ミスユース（間違ったフォームで運動をつづける）
・ディスユース（準備運動不足）

 

そのほか、「家事での繰り返しの動作による腱鞘炎」「長距離の歩行による足底筋膜炎」などの日常生活でも引き起こされる場合があります。

●野球肩

一口に野球肩といっても、種類によって症状の出方に違いがあります。

・インピジメント症候群

肩を上げていくと一定の角度（70〜120度）で痛みや引っかかりを感じ、それ以上肩を上げられないといった特徴が挙げられます。

・腱板症候群（けんばんしょうこうぐん）

痛みで腕が上がらなくなります。

また、寝ているときに痛みが強くなり夜中に目が覚めることもあります。

・上腕骨骨端線離開（じょうわんこつきんいこったんせんりかい）（リトルリーグショルダー）

投球中や投球後に肩に強い痛みを生じます。
症状を放置すると、成長障害に繋がることもあります。

・動揺肩（どうようかた）（ルーズショルダー）

投球時に肩に痛みがあり、不安定感や脱力感を伴うこともあります。

・肩甲上腕神経損傷（けんこうじょうしんけいそんしょう）

肩の痛みや疲労感を生じることがあります。

 

●テニス肘

ものをつかんで持ち上げたり、雑巾をしぼったりする動作時に肘の外側に痛みを生じます。
また、肘の外側部分に圧痛もみられます。

 

●シンスプリント

すねの内側部分に、圧痛と運動時痛がみられます。

初期では運動のしはじめに痛みが生じ、しばらくすると痛みはおさまってくる傾向にあります。
しかし、症状が悪化すると、運動の後半や安静時にもすねの痛みを生じることがあります。

 

●ジャンパー膝

階段の昇り降りやジャンプの着地時に、膝のお皿の上側、もしくは下側に痛みを生じます。

スポーツ外傷は、一度の大きな外力によって発生したケガであるといわれています。
スポーツ障害とは違い、スポーツ外傷はケガをした原因が明確であることが特徴です。

 

●スポーツ外傷の例

・骨折、打撲

コンタクトスポーツでの衝突、転倒などで引き起こされます。

また、衝撃によって神経損傷や血管損傷を生じることがあります。

・捻挫

相手選手との衝突（バランスを崩して足首を捻る）、転倒（手を強くつく）などにより引き起こされます。

・肉離れ

ダッシュ、ジャンプなどの急な方向の切り替えにより引き起こされます。

・脱臼

コンタクトスポーツでの転倒（肘を伸ばしたまま後方で手を強くつく）、柔道の背負い投げ、テニスのサーブなどで引き起こされます。

スポーツ外傷はおもにスポーツによって生じますが、「転倒」「段差の踏み外し」など、日常生活でも発生する可能性があります。

骨折、脱臼、捻挫、肉離れは共通して、患部の疼痛や血管損傷による内出血、腫脹（しゅちょう）（腫れ上がり）などを生じるといわれています。

そのほか、次のような特徴的な症状がみられることがあります。

 

●骨折

完全に折れた場合は関節以外の場所で骨が大きく動き、外観にも変形を認めることがあります。

 

●脱臼

脱臼した位置で関節が固定されて動かせなくなり、外観にも変形がみられることがあります。

 

●捻挫

損傷した靭帯部分にピンポイントで圧痛があり、関節がグラグラと不安定になりやすいです。

 

●肉離れ

筋肉が収縮した際や、引き伸ばされた際に痛みを生じます。

 

コンタクトスポーツでのむちうち（頸部捻挫）によって、神経を損傷した場合は、手のしびれ、痛み、脱力感などを生じることがあります。

また、衝撃によって頸髄や脳を損傷した場合、意識障害、記憶障害、歩行障害などがみられることがあります。
命の危険もあるため、早急に医療機関でみてもらうようにしましょう。

●ストレッチ

患部への負担を軽減するためにも、ストレッチで筋肉の柔軟性を高めましょう。
筋緊張が緩和されると血管への圧迫が取れ、血行も改善することが期待できます。

 

●運動の休止

スポーツ障害は使いすぎによって発症することが多いため、痛みがある場合は運動を休止することが大切です。
とくに成長期に起こりやすい症状（野球肩、野球肘、オスグッドなど）は、無理に運動をつづけると成長障害を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。

●テーピング

テーピングで固定、圧迫することにより、患部の動きを制限し安静にすることができます。

 

●RICE処置

スポーツ外傷が疑われる場合は、素早くRICE処置を行います。

・Rest（安静）

損傷を悪化させないように、患部を安静にします。

・Icing（冷却）

腫脹を抑えるために、患部を袋に入った氷水などで冷却します。

・Compression（圧迫）

腫脹が広がらないように、患部を包帯やバンテージ、テーピングなどで圧迫します。

・Elevation（挙上）

内出血量を抑えるために、患部を心臓より高い位置に挙上します。

痛みや腫れが強い場合は、自己判断せずに医療機関や整骨院へ早めに行きましょう。

●基礎トレーニングの実施

身体ができていないうちから激しいスポーツを行うと、身体への負担が増してしまうことが考えられます。
ケガを予防するためにも、基礎トレーニングを怠らないようにしましょう。

 

●正しいフォームの意識

負担のかかるフォームで運動をつづけていると、スポーツ障害を引き起こすリスクが高まります。
コーチと相談しながら、正しいフォームを身につけるようにしましょう。

●ウォーミングアップ、クールダウン

身体が硬い状態から運動を始めると、ケガを起こしやすくなります。
ウォーミングアップでストレッチや体操を行うようにしましょう。

また、運動後もクールダウンすることで、身体から疲労がとれやすくなるといわれています。

 

●無理な接触を避ける

転倒や衝突は、ケガのリスクを高めます。
コンタクトスポーツでは無理な接触はなるべく避けるようにしましょう。

当院では学生で部活動を行っている選手のサポートも行っています。

学生であれば身体を休めないといけないのに、大会が控えているため運動もしなければいけないという状況が発生してくるかと思います。

当院では、基本的に部活動は休ませない、休ませても最小限にしてテーピング、電気により身体のケアを行い、運動での身体の使い方や日常生活の動作におけるストレッチのやり方などを重点的にお伝えします。

当院では学生が部活動をやりたいという気持ちを最大限尊重して施術を行います。
そのため、無理をしない範囲でスポーツを行い、なおかつケガを改善できるよう施術に当たっております。

ただし一概にすべてというわけではなく、これ以上身体を動かすと危険だと判断した場合には、休ませることもあります。