むちうち

むちうちとは、首が鞭のようにしなることで発生した、首まわりの損傷をいいます。

むちうちは正式な傷病名ではなく、「頸椎捻挫」（けいついねんざ）、「外傷性頸部症候群」（がいしょうせいけいぶしょうこうぐん）、「頸部挫傷」（けいぶざしょう）などとよばれます。

むちうちの多くは、交通事故での衝突、追突、急停車などによって発生します。
事故以外にも、スポーツによる障害（転倒、衝突、無理な動作）によっても引き起こされることがあります。

・ラグビーでのタックル
・サッカーでの相手選手との衝突
・バスケットでの転倒

などの場合が挙げられます。

事故の衝撃によって、首周辺の靭帯や筋肉を損傷した場合、「首や肩の痛み」「首の可動域の制限」を生じることがあります。
また、頸部の緊張が強まり、神経が圧迫されることで頭痛やめまいを引き起こすこともあります。

そのほかにも、むちうちによって、次のような症状がみられる場合があります。

・神経根（運動神経、知覚神経）の損傷

手のしびれ、上肢から手にかけての触覚低下

・頸髄損傷

手足のしびれ、歩行障害、排泄障害

・自律神経の損傷（バレリュー症候群）

全身の倦怠感、動悸、めまい、ふらつき、耳鳴り

※大きな事故の場合「外傷性頸椎椎間板ヘルニア」を起こす場合があります。

 

●むちうちの症状の出方

むちうちでは、頸部を損傷しているにもかかわらず、受傷直後はとくに異常を感じないケースが多いといわれています。
事故にあった直後は脳が興奮状態にあり、アドレナリンによって痛みが抑えられることが原因として考えられています。

そして、負傷から数時間～数日が経ち、精神的にも落ち着いたタイミングで痛みを感じ始めてしまうのです。
負傷直後は痛みを感じないため、処置が遅れたり、そのまま症状が放置されたりすることがあります。

しかし、むちうちはしびれや首の痛みなど、後遺症が残りやすいといわれる外傷です。
首に大きな外力を受けた際には、放置せずにかならず早急に病院に相談するようにしてください。

症状を悪化させないためにも、急性期、慢性期に合わせた適切なケアを行っていきましょう。

 

●急性期

・アイシング

炎症が出ている場合には患部を氷水などによって冷却すると、痛みが軽減することがあります。

・安静

頸部の損傷を悪化させないためにも、痛みが出る動作は避けてなるべく安静にしてください。
頸椎カラーで頸部を固定する場合もあります。

 

●慢性期

痛みが落ち着いてきたら、徐々に頸部を動かしていきましょう。

・首と肩のストレッチ

首肩のストレッチによって、頸部の緊張を緩めていきましょう。
→頭を横に倒して首肩を伸ばす、頭を前に倒して首の後ろ側を伸ばす、
上を向いて首の前側を伸ばすなど。（痛みやしびれが出る場合には、無理はしないでください）

・温める

頸部の緊張を緩め血流を促進するためにも、首を蒸しタオルやカイロで温めてください。
また、湯船に浸かった入浴も効果的です。

・マッサージ、ツボ

頸部の循環を改善するためには、もみほぐしやツボ刺激が有効であるといわれています。

整骨院では、むちうちの急性期からの対応が可能です。
早期改善を目指すためにも、負傷後はなるべく早めに来院されることをおすすめしています。

むちうちは交通事故によって引き起こされることが多いですが、急性期の場合や症状がひどい場合には頸椎カラー（首のコルセット）の使用をおすすめしています。
交通事故による衝撃は外力が強く、思っていた以上にひどい症状が後から出てくる方、しびれなどの合併症がみられる方もいらっしゃいます。

自己判断で痛みを放置しておくのは危険です。
痛みが消えたとしても筋の緊張は首に残っている場合があります。

その状態で日常生活動作などをつづけていると、寝違えなどケガの原因に繋がりやすくなってしまいます。
痛みが消えて終わりではなく、ハリやしびれを作っている根本の原因を突き止めてアプローチしていくことにより、症状を後に残さないことが大切です。

また、むちうちでは下部頸椎に外力が加わりやすいため、肩こりに繋がる可能性もあります。
炎症期→拘縮期→回復期と症状はおさまっていく傾向にありますが、拘縮期にしっかりとしたマッサージやセルフケアを行うことにより症状の改善が図れます。